2008年11月09日
232.プルーストとイカ

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
- メアリアン・ウルフ
- インターシフト
- 2520円
書評/サイエンス

■読もうと思った理由
読書法に興味があり、「読書は脳をどのように変えるのか?」というキャッチに惹かれて。
■内容と感想
古代文字の起源から始まり、この文字がどのように脳を変え、脳の成長によってどのように読み方を学び、ディスレクシア(読字障害)により脳が読み方を学習できないケースまでの「読字」のメカニズムを解き明かし、最後にネット・リテラシーによって失われるモノなど、現代への警鐘を鳴らす内容である。
当たり前と思われがちな「読む行為(読字)」に対して、科学的に読字プロセスが解明されているので、この読字の創造性についてじっくり考えて欲しいとの著者の主張。一方、インターネットやITの発展により、読字が新たなコミュニケーションに取って変わられる危機に直面している。従来、当たり前のように思われていた読字のメカニズムやその貢献を通して、我々が今持っているモノを検討し、これからも持ち続けていきたいと思うモノについて熟考して欲しいというのが、本書のテーマになっている。
著者は小児発達学と認知神経科学の教授で、言語と読字とディスクレシアの研究者であると同時にディスレクシアの子を持つ母である。これらの研究活動や経験の中で、彼女は社会が新しいコミュニケーション様式へと移行しつつある中、新たな危機を感じて一般読者に、「読む」行為は必ずしも当たり前の行為ではないこと、オンライン・リテラシー(ネットと一体化した読解能力)の蔓延について深く考えてもらいたいと書き下ろした一冊である。
本書は、単なる読書法などのノウハウ本とは全く異なる。脳のイメージング技術の進化で脳の働きが解明され、その結果を踏まえた文字の発達史や文字による人間の発達を重ね合わせ、読字障害を持つ、アインシュタインやニュートン、トム・クルーズなどさまざま著名人の活躍を取り上げ、知的潜在能力をどう伸ばすか、活かすということに言及し、さらにインターネット時代の読解方法に警鐘をならす内容となっている。
読書前には、あたりまえだと思っていた読字やそのメカニズムを知り、改めて人間の脳の偉大さ、読書の重要性を認識した。
小さい子供をもつ親や読書好きな方や脳のメカニズムに興味を持っている方にお薦めの一冊。著者は、幼児が世話をしてくれる人のひざに座って言葉を読み聞かせられることが、その後の人生を左右するほど大切な体験と言っている。たとえば、少し変わった行動をとる子供を持つ親にこの本を読んでもらいたい。本書を読んで、我が子の新たな才能を発見する努力や子供の大きな可能性を知る手がかりを掴んでもらえればうれしい。
読む前は、「プルーストとイカ」と言うタイトルが本の内容と一致しなかった。読後に分かったことは、タイトルは原本タイトルそのもので読字の個人的・知的次元と生物学的次元の2つの側面を説明するため、「プルースト」と「イカ」をメタファーとして取り上げているということ。前者はフランスの作家マルセル・プルーストであり、「読書について」で読書を一種の知的「聖域」と言っている。読むというメカニズムに対し、科学者たちは脳内のニューロンがどのように発火(興奮)して情報を伝達するかを「イカ」の長い中枢軸索により解明しようとしていた。これらが、本書タイトルの背景のようであるが、ほとんどの読者が直感的に内容が分からないと思うし、魅力的なワーディングでもないので、なぜ、日本語タイトルを原本のままにしたのか疑問が残る。
Web2.0の世界について、ほとんど危惧を感じていなかったが、読書ばなりやケータイコミュニケーション、言葉の使い方、携帯小説の流行などの昨今の若者の状況を考えると著者の危機感の一端が理解できる。
これまでは、単に「たくさん読む」に注力してきた。これからは、「戦略的な読み手」への進歩。つまり、表面的に読むことから、本質的な内容の探求とそれを自分の課題へどうフィードバックして活かすかという観点で読書をしていきたい。
■読了日 08/11/09
■本のプロフィール
メアリアン・ウルフ (著), 小松 淳子 (翻訳)
価格:¥ 2,520 (税込)
# ハードカバー: 384ページ
# 出版社: インターシフト; B6版 (2008/10/2)
# ISBN-10: 4772695133
# ISBN-13: 978-4772695138
# 発売日: 2008/10/2
# 商品の寸法: 18.6 x 12.8 x 2.6 cm
本書は、単なる読書法などのノウハウ本とは全く異なる。脳のイメージング技術の進化で脳の働きが解明され、その結果を踏まえた文字の発達史や文字による人間の発達を重ね合わせ、読字障害を持つ、アインシュタインやニュートン、トム・クルーズなどさまざま著名人の活躍を取り上げ、知的潜在能力をどう伸ばすか、活かすということに言及し、さらにインターネット時代の読解方法に警鐘をならす内容となっている。
読書前には、あたりまえだと思っていた読字やそのメカニズムを知り、改めて人間の脳の偉大さ、読書の重要性を認識した。
小さい子供をもつ親や読書好きな方や脳のメカニズムに興味を持っている方にお薦めの一冊。著者は、幼児が世話をしてくれる人のひざに座って言葉を読み聞かせられることが、その後の人生を左右するほど大切な体験と言っている。たとえば、少し変わった行動をとる子供を持つ親にこの本を読んでもらいたい。本書を読んで、我が子の新たな才能を発見する努力や子供の大きな可能性を知る手がかりを掴んでもらえればうれしい。
読む前は、「プルーストとイカ」と言うタイトルが本の内容と一致しなかった。読後に分かったことは、タイトルは原本タイトルそのもので読字の個人的・知的次元と生物学的次元の2つの側面を説明するため、「プルースト」と「イカ」をメタファーとして取り上げているということ。前者はフランスの作家マルセル・プルーストであり、「読書について」で読書を一種の知的「聖域」と言っている。読むというメカニズムに対し、科学者たちは脳内のニューロンがどのように発火(興奮)して情報を伝達するかを「イカ」の長い中枢軸索により解明しようとしていた。これらが、本書タイトルの背景のようであるが、ほとんどの読者が直感的に内容が分からないと思うし、魅力的なワーディングでもないので、なぜ、日本語タイトルを原本のままにしたのか疑問が残る。
Web2.0の世界について、ほとんど危惧を感じていなかったが、読書ばなりやケータイコミュニケーション、言葉の使い方、携帯小説の流行などの昨今の若者の状況を考えると著者の危機感の一端が理解できる。
これまでは、単に「たくさん読む」に注力してきた。これからは、「戦略的な読み手」への進歩。つまり、表面的に読むことから、本質的な内容の探求とそれを自分の課題へどうフィードバックして活かすかという観点で読書をしていきたい。
■読了日 08/11/09
■本のプロフィール
メアリアン・ウルフ (著), 小松 淳子 (翻訳)
価格:¥ 2,520 (税込)
# ハードカバー: 384ページ
# 出版社: インターシフト; B6版 (2008/10/2)
# ISBN-10: 4772695133
# ISBN-13: 978-4772695138
# 発売日: 2008/10/2
# 商品の寸法: 18.6 x 12.8 x 2.6 cm










